日金ブログWEBLOG

201609/29

木を見て森を見ず。 森を見て木を見ず。

おはようございます。
9月が終わりますね。
日金にとっては決算月であり、一年の締めくくりの月です。
銅相場の乱高下というか一方的な下落基調を辿り、厳しい一年となってしまいましたが今期を振り返りながら総括してみようと思います。
2000年頃から始まった資源バブルの終焉を迎えたのは間違いないようですね。
2008年のリーマンショックで狂乱相場の終わりを意識しましたが、その後の各国による金融緩和がさらなる資源相場高騰を引き起こしました。
特に中国による4兆元(当時のレートで60兆円)に上る景気対策が世界恐慌を防いだと言われましたが、現在の世界経済に過剰生産能力という負の遺産を作るきっかけになってしまいました。
中国経済の減速が明らかになり、資源爆食の時代が終わり、ニューノーマルという言葉が登場してからは資源価格の下落基調が加速していきました。
この一年は、狂乱相場の後の大きな調整局面であったと思います。
まるで祭りのあとのような雰囲気です。

在庫を持って商売をするスクラップ業にとっては最悪の環境を迎えたことになる。
資源バブルの頃の商売を変更する必要があると誰もが悩んだことと思います。
品質よりも量を追究する業者さんは退場を余儀なくされました。
元来、スクラップ業は混ざった状態の品物をメーカーの規格に合わせ選別加工し、資源循環に貢献してきた業種です。
基本的な事業モデルが狂乱相場の中で失われていってしまったように思います。
商品を大量に集めて売却し、品質を誤魔化しながら利益を得るのが目的となってしまいました。
大きな森を作るのに一生懸命になってしまい、一本一本の木を見なくなってしまったようにも思える。
また、メーカーの方も高いくせに悪い原料が問屋から入荷しますので、必要以上に神経質になってしまいスクラップ業者との信頼関係が無くなってしまったのかも知れません。
スクラップ原料は地金製品とは違い、人間が手選別をするとてもアナログな材料です。
意図せずに失敗することも多々ありますが、地金よりも安い価格帯で流通させることで存在価値を保ってきたと考えられます。
しかし、メーカーの品質要求は年々厳しくなり、スクラップ業者の品質は益々悪化し、埋め難いギャップが出来てしまったように思います。
スクラップ原料の使用では、許容できる範囲のミスはメーカーがカバーし、スクラップ業者は出来る限りの品質を作り上げる職人気質があったように思います。
ひとつの失敗ですべてを使用不可にするのではなく、大きな森を見て使用可能であれば使用することがメーカーにとっては必要な技術であったのは古き良き時代でしょうか。
スクラップ業者は大きな森を作ることに専念しないで、一本一本の木の品質を見ながら森を丁寧に作っていくことが求められる。
時代が変わるスピードが増しています。
先ほどの話しには相場は加味していませんが、実際には相場の上下が関係してくるので話はもっとややこしい。
全体的にスクラップの発生が減少していますし、相場の高い時にしか発生が無い事は、スクラップ問屋にとって致命的です。
安定的に供給することがメーカーから求められる問屋にとって、相場が高い時にしか発生が無いのでは仕入れ平均価格の高い在庫を抱えることになります。
メーカーは製造原価から計算して、月中平均価格を採用する会社が多いですが、上昇局面ならばいざ知らず、下落局面でのスクラップ問屋は大きな実損と在庫の評価損を抱え、同時に大量の不良在庫を持つことになります。
このしわ寄せをメーカーに求めても電気銅が安く流通しているので無理は通りません。
原料ですから、安価で品質が良いものがあればそれを使用するのがメーカーだと思いますので、それは当然の事だと理解はしています。
ですが、このままでは資源循環は滞ることになるのは明らかです。
地金製品を越えた価格をスクラップに適用することは理にかないませんが、近づけるほどの品質を作っていくことは不可能ではないと思う。
本来のスクラップ問屋の仕事に精進することが、この状況を打開することにつながると考えています。
日金ブログ担当は、とっても欲張り屋さんですので、木も求めますが森も求める。
品質の良い木を集めて、可能な限り大きな森を作り、評価して頂いた上で地金製品に準じた価格帯で循環させることが大事だと思っています。
メーカーさんとスクラップ原料を扱う会社さんとがもう一度お互いの存在価値を思いやる関係を築けたら資源循環の良い信頼関係ができるかも知れません。
一年以上の相場下落の中で考えた事を思いつくまま書きましたが、今一度、考えなおす時期ではないでしょうか。

日金では出来る限り高品質の材料を安定的に使用して頂くように努力してきましたが、ご評価してくださる会社さんも多々あり、とても感謝しています。
また、日金に売ってくださるお客さまも営業エリアの拡大に伴い大きく増加させて頂きました。
ホントにありがとうございます。
当たり前の事を当たり前にやる。
木を見る事も森を見る事も当たり前の事。
お客さんの事を常に考える事も当たり前。
目標は始めから変わりませんが、しっかりと出来ていたでしょうか?
苦情はいつもでも受け付けていますが、お手柔らかにお願いします (笑)
長い今期の絞めブログですが、厳しかった一年を振り返り、有森裕子さんのように自分自身を褒めてやりたいブログ担当でした (笑) 
誰も褒めてくれないので・・・(泣)
来期も張り切って頑張りますよー!!
どうぞ、日金をかわいがってくださいね。
よろしくお願いします。
ではっ。